活動報告

セミナー・レポートサマリー 90


■セミナー委員会 平成12年12月5日〜6日
環境庁(旧)主催「環境影響評価研修会」

 平成12年12月5日・6日の2日間、環境庁主催の「環境影響評価研修会」がルポール麹町(麹町会館)で開催された。今年度は当協会が事務局となって3回目の開催である。この研修は、環境影響評価に携わる民間企業を対象に、アセスメントの調査・予測・評価にかかわる技術の向上、ならびに環境影響評価実施者の技術の信頼性を確保することを目的に環境庁の予算で実施されている。
 今回は前2回の経験や環境影響評価法全面施行後1年半経過したことを踏まえ、講師や教科内容を環境庁とJEAS研修部会とが協議して決定した。内容は、新たな環境影響評価法と従来閣議アセスとの違いや、新たな環境影響評価法に基づいた審査事例、評価技術に重点を置いている。
 受講者は、当協会会員会社、会員外も含めて定員120名の枠を設け、先着順に受け付けた。会員外の応募者は30名あった。講義の内容、資料が年々充実しており、出席者全員が熱心に受講している姿が見られた。アンケート結果でも、今後もさらに充実した内容をもって継続することが期待されている。講義内容は以下のとおり。


 ◆ 環境影響評価法の概論
  環境庁企画調整局環境影響評価課
課長 小林 正明

 ◆ 法制度のもとでの環境影響評価審査事例
  環境庁企画調整局環境影響審査室
室長 森谷 賢

 ◆ 戦略的環境アセスメント
  明海大学不動産学部教授 柳 憲一郎

 ◆ 環境影響評価と住民参加
  早稲田大学理工学部助教授 村山 武彦

 ◆ 水環境分野の環境影響評価技術
  環境庁国立環境研究所水土壌圏環境部
部長 渡辺 正孝

 ◆ 生物多様性分野の環境影響評価技術
     東京農工大学農学部地域生態システム学科
教授 亀山 章

 ◆ 人と自然とのふれあいの促進
  東京大学大学院農学生命科学研究科
助教授 下村 彰男
(セミナー委員会委員長 柿市勝重)

■2001年新春特別講演会レポート 平成13年1月26日
「グリーン国富論のすすめ―循環型社会と資源生産性―」

講師:
千葉商科大学政策情報学部教授
国連大学高等研究所客員教授 三橋規宏

 賀詞交歓会に先立つ新春特別講演会がルポール麹町において開催され、約100名の会社代表者らが参加した。
 21世紀、地球の限界に直面した人類最初の世代(「01(ゼロワン)世代」)として、どのような理念と行動が必要か、地球の限界と折り合える企業経営とは何かについて講演していただいた。
 有史以来、人類は幾度も転換期を迎えてきたが、生産・消費・廃棄の経済活動による環境破壊や資源の枯渇が生じることはあっても、それらは部分的であり、基本的に地球は無限で劣化しないものと認識されていた。しかし、現代では温暖化、オゾン層の破壊、環境ホルモン等の環境問題が地球規模で進み、有限で劣化する地球を意識せずにはいられなくなっている。
 01世代にとって、循環型社会と資源生産性の観点から早急に問題を解決し、地球の危機を救うための「環境革命」を実行することが求められる。
 元来、企業の基本戦略は労働生産性の向上を目指すことにあるが、21世紀においては、企業も環境樹(エコツリー)の一部であり、循環型社会構築のために資源生産性を高めることが要求されている。実施方法のキーワードとしては、(1)適正な生産と消費(ゼロエミッション)、(2)長寿・メンテナンス保証製品、(3)軽薄短小化、(4)3R(リデュース、リユース、リサイクル)、(5)レンタル利用、(6)技術革新、(7)経済のIT化(デジタル財)、(8)リサイクル減税等の税制改革、(9)ライフスタイルの改善、(10)分散型社会、などがある。
 環境の世紀に企業のあるべき方向性がよくわかり、目先のことにとらわれがちな私たちにとって有意義な講演であった。地球環境問題は重要な課題であり、宇宙船地球号の乗員として個人も企業も今何をやらねばならないかを考える必要があると痛感した。「地球を大切にしなさい。それは親から与えられたものではなく、子供たちから借りているものだから」というアフリカの諺を肝に銘じて。

(レポーター:三洋テクノマリン(株) 入江正己)

■2001年新春賀詞交歓会
200名以上の参加を得て、盛会となった21世紀初の新春賀詞交歓会

社団法人日本環境アセスメント協会は、2001年1月26日に公益法人として初めての賀詞交歓会を開催した。会場となった千代田区ルポール麹町には、環境省、国土交通省、農林水産省をはじめとする官庁の来賓および協会会員総勢204名が参加した。当日の様子を報告する。

 多くの来賓、会員が参集し、吉田秀事務局長の司会で賀詞交歓会が進められた。冒頭、日本環境アセスメント協会杉野昇会長が開会の挨拶に立った。最近の活動状況として(1)受託事業の開始、(2)資格制度の検討、(3)環境影響評価書の協会本部での公開、(4)北海道支部の開設予定、(5)海外との交流などが報告された。
 続いて来賓のご挨拶に移った。まず、熊谷市雄環境省環境大臣政務官が、環境の世紀に向けて環境省の取り組む事項は地球温暖化から廃棄物等まで多岐にわたっているが、このなかで今後の環境影響評価に関する取り組みとして、個別の案件への意見を行うとともに、制度の運用に関する技術向上、戦略アセスメントに取り組むことなどが話された。
 次に、川嶋康宏国土交通省大臣官房技術総括審議官は、自動車から排出される二酸化炭素の排出量の削減への取り組みを通した地球温暖化防止対策の実施など、さまざまな環境保全策を推進していくことなどが話された。
 協会発足当時の環境庁政務次官である山東昭子氏からは、協会がアジアのなかでリーダーシップを取るよう気概を持って環境にやさしく素晴らしい社会の構築に貢献してほしいと激励をいただいた。
 最後に、小杉隆元文部大臣から、環境の世紀に向けて協会のさらなる発展を願うと期待の言葉をいただいた。
 乾杯の音頭は、牧野昇名誉会長がとられ、現在の景気はよくないものの、環境関連業務はよくなっていくと予想され、環境の時代に向けて困難なことが多くあるが、この困難を乗り越えてこそわれわれの発展があるだろうと、示唆に富んだ言葉で締めくくられた。
 乾杯のあと、おいしい料理と美酒を味わいつつ、参加者の意見交換が行われた。
 宴たけなわのなか、栗本洋二副会長の発声による中締めとなった。今後も粘り強さ、柔軟性を持って環境アセスメントに関するさまざまな課題について対応していくとの抱負のもと、万歳三唱で締められた。
 協会委員および関係省庁との意見交換ができ、とても有意義な賀詞交歓会であった。

(編集委員会)




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