活動報告

セミナー・レポートサマリー 122

■海外交流グループ 平成21年2月5日
韓国環境影響評価協会を訪問して



 日本環境アセスメント協会(以下JEASという)海外交流グループは、第二創成期ビジョンに基づく活動の一環として、海外の環境影響評価協会との交流を企画・検討してきた。
  これまでの検討によると、世界的にはJEASのような団体がなかなかないのが実情ではあるが、隣国韓国では法制度に基づく、JEASと同様な協会があることが分かった。
  そこで、まずは双方の活動を紹介し、今後の交流のあり方等を検討することを目的に、2009年2月5日海外交流グループ委員長の稲見、松永副委員長、中村理事の3名で韓国環境影響評価協会(Korean Association of Environmental Impact Assessment、以下KAEIAという:ホームページはhttp://www.eiaa.or.kr)を訪問した。
  当日の会議には、KAEIA会長のSang-chul Jung氏、副会長Kang ku Yeon氏ほか6名の方々が参加、それぞれの協会の活動を紹介したのち、日本、韓国両国における環境影響評価の実態等について情報交換した。
  KAEIAは、1996年5月25日に環境・交通・災害等に関する韓国環境影響評価法第37条の規定に則り設立された協会で、環境影響評価の調査・研究・教育・広報及び環境影響評価に対する関連業務の健全な発展を図ることによって評価技術及び評価制度の発展と環境保存に寄与することを目的に活動している。
  理事等は会長1名、副会長2名、事務総長1名、理事22名、監査1名からなり、会員数は2008年12月現在99社となっている。なお、2009年4月1日からは法改正により会員数が300社に拡大する予定である。協会内の委員会には技術委員会、制度改善委員会、広報委員会、教育委員会が設置されている。
  事業内容は、環境影響評価に関する情報と技術研究の調査と研修及びその教育、国からの委託事業の実施、環境評価の技術・情報に関する国際交流、環境影響評価に関する費用算定、会員相互の親睦と権利の擁護である。
  韓国の環境影響評価法では、環境影響評価を環境部長官が指定する環境影響評価代行者(代行者=代行会社を意味する)に代行させることができることとなっており、KAEIAの会員が代行者として活動している模様である。評価代行者の技術者教育は、代行技術者(法律で規定されている)の教育を建設技術管理法による義務教育と並行して実施しているほか、2003年から年に3〜4回1週間の専門教育を実施している。また、制度改善の研修会も開始しており、環境影響評価制度の改善に関するフォーラムを毎月定期的に開催している。
  国の環境部からの委託には、評価代行実績の報告のほか、評価代行者の登録業務(2009年から実施)などがある。 環境評価の技術・情報に関する国際交流は、これまで中国、ベトナム、日本と実施している。また、環境影響評価学会や世界学会へ参加し、発表も行っている。
  会議では、日韓の法制度などについて活発に意見・情報交換が行われた。韓国の法制度化の特徴としてトップダウン的な制定があげられ、必要な法律については制度の制定を先行し、運用等での不備が見られる場合に修正する方法をとると説明を受けた。
  また、現在、健康影響評価(HIA)や社会影響評価(SIA)の方法についての検討が進められているとの説明があった。 会議終了後、場所を移しての懇親会となり、本会議とはまた違った和やかな雰囲気で、韓国料理の講釈を聞きつつ歓談した。
  今後はホーム&アウェー方式で相互の交流を進めていくことを合意、2009年度は10月頃、KAEIAが日本を訪問される予定である。今回の会議開催にあたっては、韓国環境政策評価研究院の趙公章氏に多大なご支援・ご協力をいただいた。ここに感謝を申し上げる。

当日の会議参加者
当日の会議参加者.

(企画運営委員会 海外交流グループ委員長 稲見浩之)



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