活動報告

支部報告 125
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■北海道支部 自治体等意見交換会 開催報告 平成21年12月14日
第3回 札幌市環境局都市推進部

 北海道支部では、北海道内の環境行政の現状と課題の把握、環境アセス技術者の持続的技術向上等を目的として自治体等との意見交換会を平成19年度から開催している。
 今年度の意見交換会は、札幌市環境局環境都市推進部環境管理担当課の伊東正則係長にご出席いただき、「札幌市における環境影響評価の現状と今後の展開〜生物多様性の保全を目指して〜」と題して話題提供をいただいた。
 話題は札幌市における内容が中心であったが、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)開催に先立って開かれたプレ会議の紹介や、国のアセス法の見直しに関する情報等も交えて非常に分かりやすいお話をしていただいた。

自治体等意見交換会◆生物多様性と環境影響評価
 生物多様性の注目度は、気候変動(地球温暖化)に比べて低いとのこと。内閣府による認知度アンケートを見ても、“生物多様性”という言葉を聞いたことのない人は全体の6割を占め、さらに“生態系の多様性”、“種の多様性”、“遺伝子の多様性”となると、一般の方々が理解を深めるにはもう少し時間を要するようだ。
 しかし、一方で「審査案件で環境保全措置として行われる植栽においても、在来種の採用等、種や遺伝子レベルでの配慮が求められた」という事例紹介もあり、『生物多様性の保全』の観点は、すでに環境保全上必要不可欠な側面となってきていると肝に銘じなくてはいけないと感じた。
 また、COP10のプレ会議は、「先進事例などから各自治体が生物多様性について理解を深めた会議であった」とのこと。今後、札幌市をはじめ各自治体における生物多様性地域戦略の策定に向けた動きが加速されるであろう。

◆国における環境影響評価制度の見直しの動き
 アセス法施行から10年経過にともない、中央環境審議会において、今後の環境影響評価のあり方について見直しが行われている。このなかで、政令指定都市に関係する事項として、市長の直接意見権限、風力発電の対象事業化、方法書の説明会・公聴会の義務化等に関する事項が検討されているとの情報提供があった。道内でも風力発電施設がオオワシ、オジロワシ等の希少鳥類に及ぼす影響が注目されていることから見直し内容を注視していきたい。


◆札幌市の現状と今後の展開 
 札幌市環境影響評価条例が施行されて10年が経過した。現在、大規模建築物等の予測評価項目に温室効果ガスを追加する等、技術指針の改定作業を行っているが、今後は、法改正などの情勢変化に対し、条例の点検等の対応が必要になるであろうとのことであった。これらに関連して、自然環境保全項目における定量評価や温室効果ガスの予測手法の技術力向上の必要性、小規模事業のミニアセスの有意性等についての意見交換が行われた。
 そのほか、JEAS側からは、協会の概要、平成21年度の重点事業(アセス制度の見直しへの対応、SEA技術手法の研究開発、環境アセスメント士活用の場の拡大への対応等)について情報提供を行った。
 この意見交換会を通して、環境関連技術者として『生物多様性の保全』をはじめとする幅広い技術の修得と自治体への協力、事業者や一般市民の方々に分かりやすく正確に伝えるための努力をし、そのスキルを高める必要性を再認識した。今後、持続的かつ良好な社会資本整備へ環境保全技術の提供を考えていくうえで非常に有意義なものとなった。
(レポーター:日本工営(株)小松佳幸)

■北海道支部 技術セミナー・レポート 平成21年11月13日
北海道における環境影響評価制度について

講師:
北海道環境生活部環境局環境政策課 主査 上田一徳

 本講演では、まず北海道における環境影響評価への対応の変遷が紹介された。そして、改正された北海道の環境影響評価条例について概説され、今後の環境影響評価制度の技術的課題及び運用上の課題についてうかがった。
 北海道は、全国に先駆け昭和53年に環境影響評価条例を制定し、北海道の良好な環境の確保に一定の成果をあげている。そのなかで、現在の環境影響評価では主流となりつつある戦略的環境アセスメントや順応的管理に近い考え方が、すでに当時から採用されていた。
 北海道環境影響評価条例は、これまでの知見を活かした見直しによって、基本的考え方として、情報公開及び住民参加の促進、科学的観点からの審査の実施、事業者に対する環境への配慮の意識啓発、環境関連のデータの有効活用などが取り入れられている。
 今後の環境影響評価制度については、基本として、環境影響評価の予測には不確実性があることをまず認識し、予防的措置や順応的管理に基づく対応が求められる。また、予測の不確実性を低減するためには、科学的知見の充実が重要である。システムのあり方としては、方法書や準備書、評価書の電子化による情報公開が必要である。また、環境影響評価は、手続きの簡素化による事業者の負担軽減が望まれるが、それとともに環境影響評価の本来の意義を達成するための実効性が不可欠である。
 講演を通じて、環境影響評価の手法は、さまざまな利害関係者間の合意形成を図るために、科学的知見の蓄積や試行錯誤を重ねることによって発展してきたことがよく理解できた。今後は持続可能な社会を実現するために、さらにより良い手法に発展させていく必要がある。そのためには、最新の知見を持ち寄り、検討を重ねていくべく、学識者、行政及び企業が協同することが重要であると考え、環境に携わる企業人としての責任を強く感じた。
(レポーター:(株)エコニクス 米田 豊)

■北海道支部 技術セミナー・レポート 平成21年11月13日
環境影響評価制度の見直しの課題と今後の対応
講師:
福岡大学法学部 教授 浅野直人

 本セミナーは、環境影響評価法の見直しに向けて、内外の関連制度の実施状況を分析整理された「環境影響評価制度総合研究会(以下、総合研究会)」において、総合研究会座長として報告書をとりまとめられた浅野教授によるご講演であった。
 講演の前半では、日本の環境アセスメントの経緯、総合研究会と審議経過、環境アセスメントとは何か、現行の環境影響評価法の背景、その他の環境政策の進展についてお話いただき、後半では、環境影響評価法見直しの論点について解説された。
 前半では、講演の前提となる「環境アセスメントとは何か」について、環境アセスメントとは「意思決定の支援のサブシステム」であり、環境という不定形の「情報把握」、「情報収集」とそれぞれ矛盾する情報の「調整・整理」、さまざまなステークホルダーと意思決定者に対しての「情報発信」が重要であると説明があった。また、何よりもステークホルダーや意思決定者に対して、環境影響評価の目的を理解してもらう努力が必要であると認識した。
 後半では、環境影響評価法見直しの論点として、「対象事業」、「スコーピング」、「国の関与要件」、「自治体の関与」、「環境影響評価の事業への反映」、「手続きの電子化」、「情報交流」、「環境影響評価の内容・評価技術」、「環境影響評価の審査」、「戦略的環境アセスメント」、「不服申し立て・その他」をあげられた。
 講演を通じて、総合研究会でとりまとめられた環境影響評価法の見直しの論点や今後の動向について理解することができたが、環境アセスメントを実践する現場においても、SEAやPIの運営方法など、さまざまな工夫が必要であると感じた。今後も、環境影響評価法の見直しの動向に注目するとともに、日頃の業務でそれらに合わせた対応ができるように技術研鑽に努めたいと感じた。

(レポーター:(株)ドーコン 中村 裕)

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