活動報告

支部報告 102

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■関西支部/教育研修委員会 平成15年10月9日・10日
「平成15年度環境アセスメント入門研修会」(大阪会場)に参加して」

 平成15年度の入門研修会(大阪会場)が10月9・10日の2日間、メルパルク大阪で開催され、20代〜40代の40名が参加した。研修内容は、日本の環境アセスメントの制度をはじめ、各専門分野の基礎的な事項から事例紹介までの幅広いものであった。今回の講義をとおして、私がとくに重要であると思ったのは以下の二点である。
 一点目は、環境アセスメントを実施する場合には、どの専門分野でも同様であるが対象事業の特性や立地環境などといった諸条件を十分に把握したうえで、最適な評価手法を選定し、アセスメントを実施しているという点である。とくに自然的あるいは社会的環境というものは、サイトごとに異なる独自のものであることから、その状況をよく把握し、評価の目的にあった調査手法や予測手法を選定することが重要になると思われた。なお、サイトにあった最適な調査手法や予測手法を選定するという行為は、技術者がこれまでに経験した実績によるところが非常に大きいと思われる。
 二点目は、環境アセスメントに携わる技術者には、コアとなる専門分野についての知識や技術力も必要であるが、専門以外の知識も重要であるということである。とくに21世紀は環境の世紀ともいわれている。わが国の環境管理は「公害対策」「環境保全」の時代を経て「自然再生」の時代に入ったといえる。今後、環境アセスメントの分野においても「自然再生」ということがさらに重要になってくるであろう。その際には、ほかの環境分野との横断的な影響を評価する必要性もますます重要になってくると思われる。
最後に、2日間の講義が単なる基礎的な知識の習得のための入門編だけでなく、より実際的で、かつ専門以外の分野に対しても意識を高めさせるものであったのは、講師の方の経験に裏うちされた現場からの生の声による講義であったからであろう。
(レポーター:(株)関西総合環境センター 岡井 満)

■関西支部/野外研修レポート 平成15年10月31日
「滋賀県森と内湖の再生事業」の見学

 今回の野外研修では琵琶湖周辺を訪れ、滋賀県が実施している二つの自然再生事業を見学した。

◆「びわ湖地球市民の森」

 河畔林をともなう河川であった野洲川の南流は、野洲川放水路の完成により廃川となり、砂利採取のため更地化された。この廃川敷を活用し、平成12年から県民などとの協働で、ポット苗を用いた植樹を中心に「びわ湖地球市民の森」づくりが進められている。単なる「記念植樹」にならないよう、植樹の場所や時期、樹種は管理者の指示に従うこと、個別の標識やモニュメントは設置できないこと等配慮されているが、区画ごとに植栽情報が管理されているため自分が植栽した場所を再び訪ねることができる、よい手法だと感じた。
 在来種を用いた混植が行われているが、数をそろえるために苗木は全国各地から集められる等の生態学的な問題もある。今後は、現在育成中という地元産種子からのポット苗に期待したい。クヌギとコナラの植樹を行ったが、是非この場所を再び訪れ、森林の再生状況を確認したいと思う。

◆「早崎内湖再生事業」

 早崎内湖は、昭和39年度に農地として干拓されたが、常に排水処理を行う必要があり維持管理に膨大な費用がかかることとなった。米の需要が減少し農業離れが進むなか、平成13年11月から約17haの水田が湛水され、ビオトープとして再生する取り組みがなされている。地元からは慎重な声も聞こえたというが、県知事の思い切った決断に感心した。
 水質改善効果はまだ明確ではないが、動植物の増加が認められるなど地域の小学校における環境教育の材料としても注目されている。しかし、かつては重要な収入源となった内湖に生育するヨシも、現在はなかなか利用されないなど、生活習慣の変化による維持管理の課題もある。自然再生の先行事例として、地域振興への寄与など今後の動向にも注目したい。
(レポーター:中央復建コンサルタンツ(株) 亀田実和)

■九州支部/応用生態工学会 共催シンポジウム・レポート 平成15年10月3〜5日
「応用生態工学会第7回大会」(福岡大会)に参加して

 応用生態工学会の本大会は、当協会九州支部との共催、国土交通省九州地方整備局および北九州市の後援により、研究発表・エクスカーション、公開シンポジウム『川と川辺のリンケージ:健全な河川生態系を修復するために』、有明海・八代海ミニシンポジウム『森・川・海の自然連鎖系を考える』など多彩な内容で、北九州市の九州国際大学において3日間開催された。
 研究発表では、環境の定量評価・解析手法、モニタリング・調査手法など、環境アセスメントに携わる技術者にとって興味深い発表が行われた。
 水域における生態系の予測・評価は、水・底質の変化のほか多種多様な生物の応答が複雑な食物連鎖などのなかで絡み合い、非常に困難となっている。近年は、水質予測には富栄養化モデルがよく使用され、その精度も向上している。しかし、水域生態系全体についての確立された予測・評価手法がないため、現在のアセスメントでは水質や潮流予測結果から定性的・経験的に評価される場合が多く、担当者の技量によるところが大きい。本学会では、漁民や地域住民からの情報を活用することにより、既成概念にとらわれない調査計画と地域住民の経験値を生かした厚みある予測・評価が可能であることを認識させられた。
ミニシンポジウム『森・川・海の自然連鎖系を考える』のなかでは、有明海におけるアサリなどの貝類激減の原因について、「(1)底質に堆積したマンガンが貝類に有害である可能性、(2)筑後川下流域での膨大な川砂採取によって著しい河床低下が起こり、(3)上流から供給される砂は河床復元のために使われ、河口沿岸の漁場にはほとんど供給されなくなった。(4)そのため有害なマンガンが底泥上に高濃度に存在する」との新たな見解が示された。河床が昔の高さまで戻り、砂が海に供給されるまでには100年以上を要するとのショッキングな話であった。
 このアサリと底質との関係を調査するきっかけは、ある漁業者が沖合の砂をアサリの死んだ漁場に覆砂したところアサリが増えたという、いわゆる「漁業者による実験生態学」の成果である。このように対象地の自然と毎日接している漁業者・住民の経験や意見は貴重であり、学ぶべき点も多い。ある海岸工事の実施前後の環境変化を、住民の昔話や既存写真から数値的に解析し、住民を巻き込んで行われた自然再生事業も紹介された。技術者は、人を含めた生き物、現象、すべての声に耳を傾け、寛容に受け止める姿勢でいたいものだ。
(レポーター:(財)九州環境管理協会 高比良光治)

「遠賀川水系の見学エクスカーション」

 遠賀川水系の環境保全措置事例の見学エクスカーションは、まず国土交通省、遠賀川河川事務所の管轄する遠賀川水系において、国が行っている環境保全措置事例を床固、多自然型護岸などを見学することにより実体験した。遠賀川は九州でも有数の水質悪化河川として知られているが、当地はこれからさらに保全措置を施していく場所であり、また全国のさまざまな個所で戦略的環境アセスメント(SEA)が事実上スタートしている昨今、これを実践していく場所としてタイムリーな対象である。
 次に、遠賀川を後に北九州市内に存在する“山田緑地”へと移動した。こちらは第二次世界大戦のとき、旧日本陸軍の弾薬庫があった土地で、現在は広さ140haのうち、40haが自然公園として開放されている。人口100万人の政令指定都市の真ん中に大自然が残されている現状は、未来の子孫に対しても貴重な事例である。 
 三番目に訪れたのは、公害都市、北九州が環境先進都市を目指すうえで象徴的な川である紫川、その天然の水中を水に濡れることなくのぞくことができる“水環境館”を見学した。
 同施設内では、市民・行政の両側からこれからの河川管理行政についての説明があり、将来、官民が一体となった管理体制を築いていこうという姿勢が感じられた。先に述べたSEAや自然再生推進法の序文にも『これからの環境行政には民意を反映すべし』との理念が述べられており、ここも非常にタイムリーな場所であったといえる。
 エクスカーションで訪れた場所は以上であるが、後日、参加した方々の間から「北九州市は自然度が高い」との声が数多く聞かれ、昔日の「公害都市・北九州」のイメージは、今回の参加者に限って完全に払拭されたのではないかという印象を持った。
(レポーター:環境テクノス(株) 小野原一)

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